拙い表現ながらも明らかな性的描写が含まれますので、嫌悪感がある方は
コチラ から戻ってくださいね。大丈夫な方だけお進みください。




忘れても-naruVer-<7>








予定よりも随分早く終了した仕事に、解部の長が目を丸くして報告書を受け取った。
どんな魔法を使った?と真面目な顔をしてたずねてきたので、
シカマルの背に隠れるようにして佇んでいたナルトがほんの少し笑った気配がした。
仮にも忍なのだから、どんな忍術を使った?と言うべきなのでは、とシカマルは思ったが、
ナルトが楽しそうだったので黙っていた。
「有能な助手がついておりましたので」
そっとナルトの背を撫ぜてやれば、嬉しそうに見上げてきた。

来たときのように変化してゆったりと街中を歩く。
もう夕刻を過ぎたとあって、街は夜の顔になり始めていた。
呑み屋の暖簾がかけられ、オレンジ色の灯りがともる。
鈍く光る雪洞、笑い合う大人達、もう少し路地を奥行くと春を鬻ぐ者の声が聞こえるだろう。

隣を歩くナルトが視線だけきょろきょろと動かして、興味を示す。
ふと長めにナルトの視線を奪ったものをシカマルは見逃さず、欲しいか?とたずねた。

ナルトが見つめていたのは、きらきらと眩い細やかな細工が施された簪。
女物だと言うことは伏せて顔を覗き込めば、慌てて首を振った。

この先にすぐ遊郭の通りがあるから、通いの女への土産用と言ったところか。
物色しているのは男ばかりであったから、あながち間違ってはいないだろう。

ざっと見渡して、漆黒の漆で仕上げられた簪が目に止まった。
他の豪勢な装飾とは違い、やや質素な仕上がりだが、施されている細工は繊細で美しい。
ゆるいカーブをなぞるように金箔が散りばめられ、その先には同じく金箔で月が描かれている。
先がピンになっていて、髪を絡めなくても挿すだけで良い造りとなっていた。

そしてまるでこれは、自分達のようではないかと。

そう思ったら、シカマルの行動は早かった。
ナルトの意思はどこへやら、これくださいと店員を呼びつけ購入した。
包まれた品物とシカマルを交互に見やって、ナルトが困惑した空気を滲ませたが無視。
ナルトの方も、自分への物なのか、ヨシノへの土産にする物なのか、それとも他の誰かへの物なのか判断できず、
ただただ困ったようにシカマルを見上げるしかない。
他の誰かへの物であったなら、そう考えてしまったのかもしれない。
不安気に蒼を緩ませながら、きゅっと唇が引き結ばれた。
そんなナルトの様子に苦笑して、おいでと手を引き、適当な路地に誘い込む。

暗い路地の中、建物の隙間、僅かに漏れる月明かりを見つけてナルトをその中へ立たせる。
包み紙を開いて簪を取り出し、見上げるナルトの頬を撫ぜる。

「……今だけちょっと、変化解いてみ」
言われたとおりに元の姿に戻ったナルトの髪に、先ほど購入した簪を挿す。
「うん、似合ってる」
「にあ、う……?」
元の姿だと、緋月の姿よりも頭ひとつ分以上小さくなる。
必死に見上げる姿がなんだかいじらしい。
「ああ、すげえ似合う」
そう言ってやれば、ナルトは嬉し気に笑う。
「俺、と、シカマルの色だ……」
簪に触れながらナルトは言った。
同じことを思ってくれたナルトに、せり上がるような気持ちは何と言う名なのだろう。
そうだな、と言葉になった声は僅かに擦れてしまった。

撫ぜていたまろい頬にたまらなく触れたくなって唇を落とすと、ナルトは驚いたようだったが、
それは一瞬だけだったようで、あとはシカマルのしたいようにさせた。

顔中に唇を落とし、項を撫ぜ上げ、空いた手で腰をすくいとれば、ナルトの喉がひくりと鳴った。
更に密着したからだから、薄い服を通して熱が伝わってくる。
しかまる、と開いた口を塞いで口内を奥まで侵す。
「ん、んっ……」
内側から頬を撫ぜれば、空を彷徨っていたナルトの手が、きゅうっとシカマルのシャツの裾を掴む。
頬を紅く染めて涙を滲ませ必死に耐えるさまを、シカマルは目を閉じずにずっと見ていた。
震える舌を捉えて根元から吸い上げれば、少し痛かったのかようやっと固く閉じられていた瞼が開いて、
自分を見つめる漆黒に驚き、ひゅっと息をのんだ。

そんな姿が可愛い。
いや、どんな姿だってきっと自分は可愛いと思うのだろうとシカマルは思った。

羞恥からか、さっきまでされるがままであったナルトは懸命にシカマルの胸を押した。
そんな弱弱しい抵抗など、征服欲を満たすだけだなのに。
密着していたからだを更に抱きこんで、食らいつくように貪れば、ほどなくして小さな頭はかくりと落ちた。
ときおり小さな小さな声を漏らして、懇願するように頼りない腕がシカマルの腕に縋りつく。

くたりと落ちた細いからだをすくいとって、ようやっと唇を離した。
こぷりと注がれた唾液が小さな口に溢れる。
指で拭うように顎から唇へゆるりと撫ぜてやれば、心得たようにこくりと飲み下した。

閉じていた瞼をゆるゆると開きながら、ぼんやりとシカマルを見つめる。
蒼の双眸が確かに熱を持っていて、まるで先へと促しているようにさえ見える。

「……歩けるか?」
小さく頷いて浮いていたつま先をそっとおろすが、力が入らないのか崩れ落ちそうになったところを、慌てて支えた。
「ごめ……むり……」
すまなそうに謝るナルトに首を横に振って、俺が悪かったとナルトを抱えなおす。
瞬身で家まで帰り、玄関でナルトをおろし、ついでにサンダルも脱がせてやる。
自分でやると抵抗するナルトをなんなく制し、そのまま風呂場まで再び抱えて運んでやった。

「このまま一緒に風呂に入っちまおう」
夕食はヨシノが色々と作っておいてくれたものがある。
脱衣所で下ろされ、ナルトの服に手をかけるシカマルに、ナルトは更に頬を染めて抵抗した。
「じぶん、でっ……自分でできるからっ……!しか、まる……!」
「いいから」
「やだ、やっ……ん、う、う」
うるさい口は塞いでしまえと、再び塞がれ驚いている隙に、あっと言う間にすっかり脱がされてしまう。
ふらつく危うげな足元を掬い上げて膝に乗せると、まだぼんやりとしているあいだに手早く洗い始める。
少し不服そうに、しかし抵抗しても無駄なのだと知って、ナルトは大人しく腕の中でされるがままだ。
ついでに自分も洗ってしまって、洗っている間にためておいた湯船に抱えたままつかる。

明るい太陽のような金髪は、今は濡れてしっとりと蜂蜜色に。
指を通せば、引っかかることもなくするすると抜ける。
その感触を気に入って、何度も通す。
ナルトは疲れてしまったのか、くったりとシカマルの胸に頭をあずけていた。
「……眠いか?」
問うと、ゆるりと首を振る。
「ねむく、ない……」
眠いわけじゃない、と言う。
しかし、瞼はとろりと下がってどうも気だるげだ。
風邪の前兆だったらいけないと、長風呂はやめてナルトを抱え湯船から出た。
タオルで丁寧に水分を取ってやるあいだも、どこかぼんやりと、ときおりからだを震わせる。
「寒いか?」
これにもなるとは首を振った。
「熱は……風呂上りだからわからないな。寝る前に熱測ろうな?」
紅い頬は湯船につかったせいなのか、風邪の予兆なのかわからない。

「からだ、どこかおかしいところはないか?寒気がするとか」
「……、」
しばし思案していたナルトは、何か言いたげに口を開いたが、また閉じてしまった。
その様子に既視感を覚える。
(どこだっけ……あ)

そうだ、と思い当たったのは。

昨日、散歩にでかける前に口付けたときだ。
あのときの、顔だ。

何か言いたげにしていたのに、口をつぐんだ、あの。

そしてふと気付くひとつの可能性に。
まさかと思う。
思ったが、そうかも、と思う。

「ナルト」
「……な、に……?」
「このへん、疼かねぇ?」
うずく?と首を傾げたナルトの下腹部、臍の下あたりをゆるりと撫ぜると、ふ、と息を漏らした。
「う、ん……」
もっと触ってほしいような、やめてほしいような、もどかしい感覚が残る。
その様子に、あー、うん、そうだよな、教えたの俺だもんな、とシカマルの独り言に更に首を傾げる。
「シカ……?」
「ナルト、腹減ってる?」
シカマルの問いに首を振る。
不思議と空腹感はなかった。
それよりも、シカマルが触れたところが気になる。
ふわふわと浮いたような感覚がずっとあって、顔が熱っぽい。
「そか……ちょっと、こっちおいで」

手を引かれ連れて来られたのは、いつも使っていた客間でなく、以前シカマルが使っていた自室。
座りな、と促されたのはベッドで、ヨシノが干していたのだろう、ふかふかと軽やかな感触だった。
「ずっと……、落ち着かない感じしてた?」
「……うん」
「あー、うん……そう、そうだよなー……」
ナルトをベッドに座らせて、その前にシカマルが床に膝立ちで同じくらいの視線に合わせている。
気まずそうに目をそらしながら、シカマルが唸る。
しばらくして、不思議そうに見つめていたナルトに向き直ると、
「あのな」
「うん」
「たぶんそれ、抜けば楽になると思うから」
ぬく?不思議そうに見やるナルトに苦笑する。
「ココに、」
ナルトの下腹部をゆるく撫ぜて、
「男は定期的に抜かないと溜まっちゃうんだよ」
だから抜こうな?
何が、とはっきり言われなかったが、シカマルが言うならきっとそうなのだろうと納得して頷いた。
「どうしたら、」
「力抜いて、ただ感じてればいいから」
「感…?っふ、」
急な口づけに驚いて見開いた蒼。
「んっ……!?ん、んん…」
性急に深く侵してくる舌に翻弄される。
荒々しい舌とは逆に、そっと後頭部を押さえている手のひらは、優しく項を撫ぜていく。
その手の動きに反応するように、ひくんと肩がときおり跳ねる。

いつの間にか唇は顎へ首へ鎖骨へ移動し、シャツはたくし上げられ胸へわき腹へ。
「シ、カ……っ」
感覚についていけないのか、力の抜けた上半身は、目の前のシカマルに縋るようにあずけられる。
ちゅっと吸い上げては、軟く歯を立てる。
(食べ、られ、て、る……)
怖いのではない。
歯を立てられるたびに、からだの奥がぞくりと何かが頭を擡げる。
そしてどこか充足感があった。
ほんとうに食べられているわけではない。
けれども、シカマルの一部になれる気がして。
視界が揺らいで、涙が溜まっていたのだと気付く。
吐く息が熱くてどうにかなりそうだ。

腰を引き寄せられ、せっかくはいたズボンを足から抜き取られた。
下腹部に近づく唇に、熱に浮かされていた思考が戻る。
「しか、っ……?っあ、」
ぺろりと、舐められた。
その感触に驚いて身を引くが、腰に回った腕が離さない。
ちゅう、と先端に口付け、そのまま口内に招き入れられた。
生温かい口内に、ぬるりとした感触に驚いて、ナルトは悲鳴を上げた。
「やめ、やめてぇ…っ…なんで、ん!あっ」
涙の混じった声に、大丈夫だと背中を撫ぜてやる。
いったん唇を離して、ナルト自身に指を這わせたまま、先ほど他より反応のあったわき腹に再び歯を立てる。
ねろりと舌を這わせれば、大袈裟なほどに小さなからだが跳ね上がる。
ぎゅう、ときつく瞑った瞼にも口付ける。
そんなやりとりがしばらく続いて、ナルトが本格的に泣き始めた。
「は、あ、あ、も、……やぁ、だ、あぁ……!!」
扱いても愛撫を施しても、とろとろと先走りを滲ませて果てそうな気配は見せるのに、なかなか行き着けない快感の果て。
シカマルもこれほど時間をかかるとは思っていなかったため、困惑した表情を見せた。

そして浮かんだひとつの考えに、いやまさかと首を振ったが。
「……まさか、なあ……」
(でも、そうなのかも……)
その考えが正解かを確かめるため、そろりと伸ばした先。
奥の小さな窪みにナルトの出したものを纏わせてそっと指を差し込めば、意外にも抵抗は見せず飲み込んだ。
「っあ、な、に……、しか……しかまる……」
異物感に眉を寄せシカマルを呼ぶ声が不安を滲ませた。
「大丈夫だから、力抜いてな?」
「むり、むりぃ……」
なんでそんなことをするのだと、怯えた蒼が見つめ返した。
「ほら、キスしよう?」
潤んだ蒼でかぶりを振る金髪を宥めて、顎を掬い上げれば、そろそろと瞼を閉じた。
いいこ、と耳元で囁けば、ふ、と力が抜けたようだった。
そうっと触れるだけの優しい口づけに、少しだけ呼吸を落ち着けたナルトがシカマルに手を伸ばした。
細い腕が首に縋りつく。
ゆるく開いた小さな唇、濡れた紅い舌をそろりと差し出したのを受け取って、塞ぐ。
そのままベッドに沈め、散った金髪に手櫛を通し目を細めながら、空いた手で中を探った。
苦しげに呻くナルトを宥め賺し、滲んだ涙を舐めてやる。
少し落ち着いてきたら指を増やし、奥へ奥へと進めて行く。
「ひっ……ぅ、あっ……あ、ぅあ!ひ、ん、」
反応のあった箇所を入念に解し、跳ねるからだを押さえつける。
艶を増していく反応に、困ったのはシカマルの方だ。
「…最後までは、しねぇつもりだったのに、なぁ……」
「んっ……ぇ、なぁ、に……シカ、」
苦い表情で呟いたシカマルに、聞き取れなかったナルトが蒼を潤ませながら息も絶え絶えたずねた。
「いや……ごめんな?」
なぜ謝るのかわからないナルトは首を傾げるばかりだ。
すっかり解れた奥から指が引き抜かれ、膝が胸につくほどに抱え上げられる。
代わりにひたりと宛がわれた熱に見当もつかず、きょとんと見上げるナルトに苦笑する。
「な、に……っぐ、ぅあ、あ゛っ!?」
「いき、ちゃんと吐けっ……」
圧迫されていく腹に、上手く呼吸のできないナルトの頬に、額に、口づけ。
「ふ、は……はあ……あ、あ!」
「そう……上手、だ」
褒めてやると、寄せられていた眉が少し緩む。
少しずつだが、シカマルの動きに呼吸が合ってきた。
そして確実に快感を拾っていっているようだった。
奥まで辿り着いて、トンと最奥に当たると、様子が変わった。
「ふあっ」
「んっ……よかったか?」
きゅうと締め付けられ、聞けば首まで真っ赤に染まる。
その様子に気を良くして、同じように最奥をつけば、悲鳴のような声が上がった。
が、その声は確実に快楽を得ていた。
「ぅ、あ、あっ……?」
「どう、だ?イキそ……?」
「あ、ひ、や……や、だぁ……こわ、いっ……やだあぁ」
先ほどからきゅうきゅうと痛いくらいに締め付ける中に動きを速めてやれば、その感覚についていけずに怖いと泣く。
幼子のように泣きじゃくった。
大丈夫だと髪を撫ぜても涙は止まらない。
「ほら、イっちまえ。楽になるから……な?俺も……そろそろ、無理、」
一緒にな?と笑みを見せれば、僅かに大人しく身をあずける素振りを見せた。
それに乗じて腰を抱え直し、最奥を抉るように突き上げた。
引き攣るような声、反らされた喉に思わず食らいつけば。
「あ゛っ……!?あっ、ぅあ、ひ、ぐ、あ、ああぁあ……!!」
「ふ……っ」
とうとう果てて、びくびくとからだを弓なりに反らす小さなからだをぎゅうと抱きしめた。
自身も奥に満たして引き抜き、ゆっくりと息を吐く。
わずかに身じろげば、小さく声が上がった。
とろとろと下がる瞼が重そうだ。
「疼き、なくなったか……?」
問えば、わからないと気だるげに唇が動いた。
「ねむ、い……」
「そうか。飯は明日にしような。今日はもう寝ちまおう」
「ぅん……」
言っている間に、ナルトの瞼は下がっていく。
間もなくすうすうと規則正しい寝息が聞こえてきた。
手早く後始末をして自分のシャツを羽織らせ抱えると、汚れたシーツを洗濯機に放り込み、寝室として使っている客間へと運ぶ。
「こりゃ……どうしたもんかね」
さっきシカマルは、口淫で駄目なことがわかり後ろに挿入してから、一度も前は触らなかった。
つまり後ろだけで絶頂を迎えたのだ。
まだ数回しかからだを重ねていないが、もともと才能があったのか、自分が思っているよりもずっと想ってくれているのか。
自分で上手く熱を逃せずにずっと、困惑していたのだろう。
与えた口付けから快感を拾って、反応したからだを持て余して。

シカマルでないと果てられないなんて、ひどく可哀そうで、愛しいではないか。


可愛い可愛い俺だけの、

きっと明日、からだが痛くて不満げな顔をされるだろうけれど

すごく甘やかすから許してくれないだろうか




きっと、

優しい金髪は許してくれてしまうのだろうけど





小さなからだを抱き寄せて、
深い深い夢の奥へ。












モドル