俺は今、

おかしなことを考えている。


これは願望?



それとも





確信






“ナルト”が死んで1ヶ月。
誰もが日常を取り戻そうとしていた。
彼をよく知る仲間達は、顔を合わすと黙って肩を抱きぽつりぽつりと思い出を語ることが、
最近よく目にする光景だった。

「僕2ヶ月くらい前にナルトと会ったんだ」
自称ぽっちゃり系の彼が、珍しく菓子袋を待ち合わせた友人が来るまで開けていなかった。
「ここで一緒にお菓子食べたんだ」
「・・・そうか」
相変わらずきつめに髪を結い上げて、シカマルが頷いた。
悲しみに浸る、というよりは少し、考え事をしている様子のいつものシカマルの姿に
幼馴染のチョウジが首をひねった。
「・・シカマルどうしちゃったの?」
「何がだよ」
「変だよ」
「・・・かもな」
視線を落としたシカマルの横顔には、皆と同じように憔悴したような疲れが見えたが、
皆と違う色を持っていた。
「シカマルは・・」
チョウジの言葉に顔をあげ、次の言葉を待つ。
「もっと・・・喚いたり・・・するかと思ってた」
意外な言葉にシカマルが目を見開く。
「普段冷静で物に執着しなくても、誰よりも仲間思いなのは僕とイノが一番知ってるし・・・」
だから余計今の落ち着いたシカマルは変なんだと、幼馴染は言う。
さすがだな、と小さく漏らして立ち上がる。
「・・なあ、お前ナルトと2ヶ月前に会ったんだよな・・・・?」
「え?うん・・」
シカマルの台詞の脈絡を理解できずに、先を待つ。
「俺達同期の皆さ、ナルトの死亡報告までの2ヶ月の間に1回以上、誰もが会ってるんだ」
「うん・・・」
それはひっそりと行われたナルトの葬式で、皆で語り合った時に話題にあがった。
「チョウジお前、俺とイノ以外の同期で月に何回会う?」
「うーんと・・・」
シカマルの次によく会うのはキバだけど、班も自違い、自分達の能力的にも同じ任務で組むことは少ない。
「中忍になってから忙しいし、月に一度どころか2ヶ月に一度くらいかなぁ・・・」
「俺もそんなもんだ」
シカマルが何を言いたいのかだんだんとわかってくる。
だがそれは馬鹿げた話だ。
「まるで自分の死期を知っていたみたいだ」
「ちょっとシカマル・・・」
「俺はこんな冗談言わねぇ」
知ってる、と小さく聞こえた。
「それにあいつ・・・」
「何?」
「や、なんでもねぇ・・・」
帰るわ、と背を向けたまま軽く手を振りそのまま歩きだしたシカマルをただ見送った。











もう夕方を過ぎ7時をまわると言うのに外はまるで明るかった。
自分の影を見つめながら、あの夜のことを思い出す。
もうひとつ気になることがシカマルにはあった。

あの夜あいつは女に変化していた。
確かにあいつのチャクラの量が半端ないのは知っているが、俺の知るあいつのチャクラを操る技術は
それほど高いものではなかったはずだ。
まだまだ下忍クラス、というのがシカマルの見解。
けれどあの夜、ナルトはとうとう変化を解かなかった。
攻められすぎて泣き腫らしぐったりとシーツに沈むまで見ていたのは、紛れもない自分自身だ。
途中、元の姿に戻ってもおかしくない状況だった。
色専門のベテランくの一でもあるまいし、あいつにそんな芸当できるとは思えなかった。

そしてあのからだ。
イノやサクラ達と変わらぬ年齢に見えた。
いつも悪戯で使用する女体とは違うリアルがあった。
なぜあの時に限ってあの姿だったのか。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、まるで青少年の見るエロ雑誌から抜け出たかのような変化である
あの悪戯使用の姿の方が自然だっただろうと思う。

まだ手に残る肌の感触は、ひどく現実味のあるものだった。


忍であるが故に、加えてナルトは腹に九尾を封印しているが故に、遺体は既に処分され残っておらず
この目でみていない。




俺は今おかしなことを考えている。


自分で思う以上にナルトの死がショックだったのか。


「いや・・・」


違うだろ。



だって俺は、



あいつが本当は女で、





まだ生きていると











そんな証拠もない確信を抱いている。

































       
















モドル