拙い表現ながらも明らかな性的描写が含まれますので、嫌悪感がある方は
コチラ から戻ってくださいね。大丈夫な方だけお進みください。




赤い飴玉





「何これおいしーい」
「えぇ?ほんとぉ〜;;?・・・あ、ほんと!意外にいける」
「ほ、ほんとだね・・・」

きゃあきゃあと弾む声の中心には、サクラとイノ、ヒナタがいる。
今は合同下忍任務の小休憩。
はしゃぐ彼女達が花咲かせている話題の元は、キバが持って来た菓子だ。

「なっなっ?見た目はアレなんだけど、味はうまいんだって!」
「なんであんたがいばってんのよ」
どうだ!と胸を張るキバの頭を、イノがペシリとはたいた。

「あぅー疲れたってばよー・・・」
「全くあの依頼者ひと使い荒ぇよ・・・」
一足遅れて金髪と漆黒がやって来た。
本日の任務はとある大名宅の大掃除。
3班合同でも3日はかかった、最終日。
最後までかかってしまった、屋根の上を掃除していたナルトとシカマルの帰りを皆待っていたのだ。
「おっせーよ!!」
「阿呆、これでも早いっての」
怒鳴るキバにシカマルが痛くはない蹴りを入れる。
「てめー俺らがどれだけ頑張ったと思ってんだよ」
眉間に皺を寄せたシカマルはなんだか機嫌が悪そうだ。
というのも、依頼主が九尾を宿したナルトを何かにつけて嫌がらせをしてきたためだ。
足場の悪い、とうていひとりでは終われないであろう屋根の掃除をナルトひとりへ指定してきたのも依頼主みずから。
それがシカマルの機嫌を更に低下させた。
ナルトが実は暗部で、暗部総隊長に次ぐ強さと言われていることも知ってはいるが、面白くはない。
ひとりで大丈夫だ、と言うナルトの言い分は無視して傍にいた。
ナルトは始終、申し訳なさげにしていたが。
そんなシカマルに、キバは小さな何かを投げた。
「ごめんって。それやるからさー機嫌直せよ」
「なんだこりゃ・・・飴・・・?」
「うん飴」
「いらねぇ」
てい、と親指で弾いて、透明のセロファンに包まれた飴はキバの額に当たった。
「こら、食べ物を粗末にしちゃダメでしょー」
キバに当たって跳ね返った飴を受け止め、イノが口を尖らせる。
「なんかからだに悪そうな色してる」
ちらりと見えたキバの舌が舐めていた飴の色に染まっていて、それは目の覚めるような青。
イノの舌は黄色に染まっていて、なんとも受け入れがたい色に見えた。
「これねー、キバが持って来たんだけど、見た目ちょっとひくんだけど美味しいのよー」
その様子を金髪の子供がじいと見つめる。
「ナルト食べてみたら?」
はい、とサクラが渡した飴に蒼がきらりと揺れる。
どうやら食べてみたかったらしい。
ぱりぱりとセロファンを外し、中から現れたのは真っ赤な飴玉。
光が通ると、ピンクにも見える。
ぽいと口へ放り込み、ころりと転がせば、おもちゃみたいな色をした飴玉は、意外にもちゃんとストロベリーの味がする。
「おいひー、ありがとーサクラちゃん」
「いいのよ」
「いや、持って来たの俺だから!」
手柄を取られたキバに笑いが起きる。
依頼主と話がついたのか、上忍が戻って来て、間もなく解散となった。

今日の夜は、珍しく暗部の任務もなくゆっくりできる。
それをどこで聞きつけたのか、シカクとヨシノから夕飯に呼ばれたナルトは、シカマルと影を並べて帰っている。
まだ街中だから大きな声では無理だけど、シカマルに聞こえるほどの声で話す口調は、本来のもの。
ナルトは小さくなった飴を噛み砕いてこくりと飲み下した。
そして、ついとその小さな口を開けてシカマルに見せる。
「ねぇ、どう?赤いです?」
れ、と突き出された真っ赤な舌に、シカマルの動きが止まった。
ありえない赤。
小さな口を限界まで開けて、ねえ?と見上げる蒼に、どくりと大きく心臓が鳴った。
「シカ、えっ・・・?」
ぶわりと浮いた視線に、蒼が見開き、戸惑いの声が上がって、2人分の影が消えた。













オレンジの明かりが窓から差し込み、黒く落ちた格子の影がフローリングで揺らぐ。
電灯もついていない、暗い部屋。
たよりになるのは、だんだんと暗くなっていく夕陽だけ。
「んはぁっあっあ、ぅあんん・・・!!」
「はっ・・・」
ソファの上で、ひとつに繋がる黒い影が揺れる。
さして大きくもない2人がけのソファの上で、金髪が突き動かされるたびにパサリとうねる。
押し開かれた足は、ソファの狭さから左右に開けず、黒髪の肩に担がれてゆらゆらと艶めかしく白く浮き上がっている。
「な、んれぇ・・・?あ、やうぅ・・・!」
濡れた蒼が、脅えたように漆黒を見上げる。
怒っているの?
そう、蒼が語っていて、漆黒は苦く笑った。
「怒ってんじゃ、ねえ、よっ」
「くあぁあああっ」
足を担ぎなおしてできた隙間をなくすように腰を進めると、より深く求められて上がる嬌声。
今の衝撃で果ててしまって、顔はもう涙でぐしゃぐしゃで、舌は飴のせいでまだ赤い。
舌が麻痺したかのように、上手く意味のある単語に繋がらない嗚咽が響く。
「い、あぅ、あっ・・・ふ、」
「・・・それ、俺の前以外で、もう、食うな・・・?」
シカマルの言葉の意味がわからなくてことりと僅かに首を傾げるナルトの舌を捉えて吸い上げる。
「んん・・・!」
苦しい、息まで吸われて呼吸がままならない。
「ふはっ・・・」
限界まで我慢して、とうとう堪え切れずに残った僅かな力で覆いかぶさる恋人を引き離す。

苦しいと、胸を叩いたのに
晒された肌に爪も立てたのに
力の限り暴れたのに

放してくれなかった。

「し、んじゃぅ・・・でしょう・・・!」
「それは、困るな」
少し困った笑みを見せて、それでもまだ熱に浮かされているのだと思う。
目が笑っていない。
ひたりと、漆黒の瞳が自分を見据える。
ぞくりと、なんとも言えない恐怖感を覚え、思わず腰を引こうとするが、既に回されていた腕が
がっちりと抑え込んでいて動けない。
「ぅ、え・・はなっ・・・はなし・・ひっ・・・あぁああぁあ!!」
「逃げんな」
果てたばかりで感覚が冴えていることを知っていて、シカマルは敢えて深い繋がりを求めた。
幼子のように泣きじゃくって、吃逆をあげるナルトに加虐心が湧いたのか、動きを休めることはない。
振動でずり上がってしまうからだを、肩を押さえて固定する。
おかげでナルトはより一層深い部分を犯され、指の先までびりびりとした快感にたえる。
「も、はな、してぇ・・・シ、カぁ・・・ぅあっああっ」
「ああ・・・」

かわいいかわいいかわいい

歪んだ泣き顔も
苦しいほどの快楽に跳ねるからだも
怯えるしぐさも

可愛くて仕方ないのは、あの赤を見たせいだろうか?

舌も頬も真っ赤、吸って散らした欝血のあとも、真っ赤。
赤色が興奮するって、本当だ。
ぼんやりと、濁った頭で考える。

(いや、)

「きっと、お前だからだな・・・」
「んっ・・・」
ちゅう、と口づければ、霧がかった頭も幾分晴れる。
焦点を取り戻したシカマルに、ナルトの表情が幾分和らいだ。
そして薄く開かれた唇の奥には、赤い舌。

ああ、あの赤い飴玉、今度買って来よう。

「っ・・・シ、カ・・・今、何・・・考えまし、た・・・?」
ふるり、と悪寒で肩を揺らしたナルトに笑って、再度唇を寄せる。

目元は三日月みたいに孤を描いて、唇は金髪を追い詰める言葉を乗せる。



さあ、何だと思う?











モドル